本稿では,2008年11月24日に愛媛県松山市で行われた,市街劇人力飛行機ソロモン松山編について述べる。
市街劇とは,その名の通り,市街にて行われる劇である。
所謂一般的な演劇というのは,劇場という閉鎖的な空間があり,観客と演者は分離されている。市街劇の場合,市街という日常的な空間に於いて,観客が時には演者になりながら劇を求めて移動するというのが大きな特徴である。特筆すべき点としては,市街に居る全ての人が広い意味で観客となる事,観客も時に演者となる事,観客だからといって劇の全てが観られる訳では無い事であろう。
市街に於いて行われる異形の者達による劇は,やがて日常の一部となっていき,また,日常生活で行われる様々な行為も劇の一部となっていく。これらの事に可能性を見るか危険性を見るかについては,各個人によって大きく分かれるところであろう。
演目については,地図より引用する。
- (1) MAPPER=地図交換
- (2) プロローグ【百年鐘=歴史の蹉跌】
- (3) 1メートル四方1時間国家
- (4) 声の落書き~罵倒雑音~
- (5) 審問
- (6) 寺山演劇ワークショップ
- (7) 寺山修司の短編映画
- (8) 時計仕掛けの浪曲商人【中窪正男】の懐中時計
- (9) 古典劇のパロディ
- (10) 子規劇「子規と漱石と『坊っちゃん』」
- (11) 青猫衣装館・青空化粧館
- (12) 注文の多い料理店
- (13) 天文学者の孤独
- (14) ハイド・アンド・シーク
- (15) 詩劇「思想への望郷」
- (16) 疾病流行記=商船パゴパゴ篇
- (17) 歌姫絶唱「不思議なトリップ・オペラ=夜鼬魔窟の女魔術師」
- (18) ビデオシアター
- (19) 河川敷の撮影隊
- (20) 便所のマリア① 美耶と猫十
- (20) 便所のマリア② 紙芝居
- (21) 惜春鳥
- (22) 踊り念仏!
- (23) 老嬢交換A=リヤカー劇
- (24) 老ポパイの帰還
- (25) 街は開かれた書物である
- (26) キャベツ訪問
- (27) 父を訪ねて三千里
- (28) 世界のサイズは間違っている
- (29) 青空を私有することの犯罪性
- (30) ふり向かないで下さい
- (31) 質問
- (32) ジャンケン戦争
- (33) 地獄のライダー
- (34) 紙飛行機少女
- (35) 長距離ランナーの孤独
- (36) ラインナーを撃て
- (37) 移動放送局・ソロモン放送
- (38) 犬頭の男
- (39) 遺失物収容所
- (40) 郵送されるセリフ
- (41) 2時にひとつの動作を
- (42) 3時にひとつの詩を
- (43) yummydance
- (44) まことクラヴ
- (45) 歌人・俳人 寺山修司と天井桟敷ポスター展
- (46) 思想への離陸【エピローグ】
これらの内,(1)~(18),(39),(42),(43),(46)は固定型演劇
,(19)~(38),(44)は移動型演劇
,(40),(41),(45)は企画型演劇
とされている。
次の文章は,筆者による断片的な記憶である。これは,劇全体のほんのごく一部にしか過ぎないし,また,思い違いや,過去の記憶の美化があるかも知れない。しかし,インターネット上には多数の記憶や証言があるので,それらを繋ぎ合わせる事により,当日,松山市内に何が起こったかの手掛かりとなるであろう。
記述されなかったものも歴史のうち。